小説で例えるなら行間を読ませるような映画だと思った。
登場人物は三人。彼らの素性はわずかに台詞の一部から読み取れることしかわからない。
彼らは考えていることを口にしないし、行動にも起こさないから、直接わかることはほとんどない。
なのに、ちょっとしたやり取りや、ふと見せる表情、映画の間から、彼らの想いがはっきりと伝わってくる。
何も描いていないのに、あまりにも饒舌。
まるでこちらの「映画リテラシー」を試してくるかのような表現は、とても楽しい。
ああ、こういうことができるのが映画の本来の魅力なんだよな、と個人的には強く思った。
短い作品だけど、ここまでのことをやってのけたのはすごい。
この監督の長い作品をぜひ観てみたいと強く思う。