いずみたつや

トッド・ソロンズの子犬物語のいずみたつやのレビュー・感想・評価

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誰もが目を背けたい人間の闇を皮肉たっぷりに…と書くのは簡単ですが、そういう容易い"理解"に落とし込めない掴みどころの無さがやはりトッド・ソロンズ監督の魅力です。

最初のエピソードから無垢な子どもの心を傷つける非常に最悪な話で、かと思えばほんのり優しいエピソードや切なく寂しい場面もあって、不覚にも目が潤んでいると次の瞬間にはゲーーッ!とさせられる。

ほんとこの監督は容赦ない。。

容赦ないといえば、映画の中ではあの巨匠のことすら皮肉っています。皮肉で有名なあの監督です(名前伏せるほどではないんですが)。

あ、そうそう長尺の映画ではないですが「インターミッション」があるのも面白かったです。これが最高に可愛いくて、犬好きの方に超オススメです(ですが超オススメしたくない気持ちもあるのは観た方なら分かっていただけるかと)。

先ほど「目が潤んだ」と書きましたが、決して"泣ける映画"ではないことは言っておかなければなりません。ではなぜ"泣けた"かというと、どのキャラクターも不完全で、どこか自分の"ある側面"のように感じてしまったからです。

監督はそんな"不完全な人たち"に少し優しさを見せたり、あるいはエレン・バースティンが演じた老婆の話では、その胸の痛みにちょっぴり寄りそったりするのです。

でも繰り返しになりますが、甘くなりすぎないのがトッド・ソロンズ監督です!面倒くさく素晴らしい映画でした!