賽の河原

先生! 、、、好きになってもいいですか?の賽の河原のレビュー・感想・評価

2.7
仕事柄、中高生相手に仕事をしているぶん、こういう中高生向けの映画をニヤニヤしながら観に行くの、意外ときらいじゃないですね。まあいつものご都合主義的展開ですよ。中盤までは結構ギリギリのバランスでやってたんですけど、屋上の例のシーンからは結構大人が観るには低俗な感じでしたね。
僕が観て興味深かったのは今作で物語的な推進力となるシーンといえる3つのシーンが「生徒から見られる/聞かれる」ということによって物語を駆動させているという点ですよ。
本来学校っていうのは、ベンサム−フーコー的なパノプティコン的な権力構造を利用して成立している空間なんですが、そのパノプティコン的空間の「看守」たる教員が「見られる」「聞かれる」ということによって物語が駆動しているという点で、現代社会はもはやパノプティコンの更に先に行くユビキタス的な監視社会として成り立っているんだな、と。(結構ナンセンスな見方なのでどうでもいい)
当然作り手側は意識してないでしょうが、本作でパノプティコンとかベンサムとかフーコーとか、オーウェルの1984年とか、宇野常寛の「リトルピープルの時代」とかってところまでを中高生に語り得る、そういう射程の深さが実はあるという点で、私個人としては収穫ある映画でしたね。
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