TAK44マグナム

破裏拳ポリマーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

破裏拳ポリマー(2017年製作の映画)
3.8
この世に悪のあるかぎり、正義の怒りが俺を呼ぶ!
破裏拳ポリマー、ここに参上!!

タツノコプロが生んだジャスティスといえば数多いですが、「科学忍者体ガッチャマン」や「新造人間キャシャーン」など実写映画化されたヒーローが有名どころ。
そして本作もまた、そんなタツノコヒーローのひとりである「破裏拳ポリマー」堂々の実写映画化作品であります。
ワンちゃんの毛づくろいをする人じゃないですし、すぐ詩的なことを言っちゃう人じゃないですよ、ポリマーですよ、ポリマー。


監督は、平成仮面ライダーシリーズでも活躍するアメリカ帰りの漢、坂本浩一。
格闘アクション映画で定評がある坂本監督なだけに、オリジナル拳法で犯罪者を倒すヒーローというポリマーは、まさに求めていた最高の題材。
熱のこもりようが映像から感じられます。

主役であるポリマー≒鎧武役は、溝端淳平。
四ヶ月間、坂本監督の元でアクションの修業をみっちりと積んだ結果、アクションというイメージがそれまで無かった溝端淳平が驚くほどの進化を遂げ、ドニー・イェンみたいな連打まで披露するパーフェクトな「アクション俳優」として我々の眼前に立つに至りました。
少し足の短さが気になったのは内緒ですが、衣装のせいでそう見えただけかも。

その他のキャストに、ゴーカイブルーこと山田裕貴やグラビアアイドルで一斉を風靡した原幹恵、そして陽気なスーパーボディの柳ゆり菜。更にはウルトラマン80や仮面ライダーオルタナティブ・ゼロまで豪華共演。
神保悟志は、いや〜良かった。あの人めちゃ愛妻家で優しい人らしいんですけど、本作ではいい感じに狂ってて最高でした。
総じてキャスト陣の演技は片手間とは思えませんでしたよ。


武装犯罪が増え続けるTOKYO。
警察と自衛隊が共同で開発した特殊戦闘用装甲スーツ「ポリマーシステム」が何者かに奪われた。
特別捜査班は、オリジナルポリマーを唯一起動できる探偵である鎧武に協力をあおぐ。
ストリートギャングが銀行を襲撃、そこには盗まれたポリマーを使用する人間もいた。
武は、真っ赤なオリジナルポリマーを装着、敵のポリマーを退けるが、ヘルメットの回収には妨害が入ってしまう。
ポリマーを使って悪事を働く謎の存在に挑む武たち。
はたして、武の正義は悪のポリマーを打ち砕くことができるのか?
いま、正義の破裏拳流が唸りをあげる!
転身!ポリマーッ!!


さてさて、「出来るだけ凄いものをつくろうぜ!」という作り手の皆さんの気概や熱量は伝わってくるのですが、いかんせんお金がそこまではかかっていない為か、テレビの仮面ライダーと同等レベルぐらいの完成度に留まっているのが哀しいところ。
この場合の完成度とは、ストーリーや演出の領域ではなくて(ただし、そろそろヒャッハー!な悪役のヤンキー演技はダサいと思いますが・・・)、こういった低予算のアクションものにとって重要となるディティール面での事です。
やっぱりCGは粗いし、格闘場面も舞台が廃墟だったり、モブシーンなどの迫力も甘い。
アメコミヒーロー映画の域を目指したらしいのですが、作品全体で見た場合の厚みが足りていないのは明白でしょう。
せめて、ゴジラ映画なみの予算があれば、坂本監督ならきっとやってくれそうなんですけどね。

とりあえず、同じようなタイプだとウェンツ瑛士の「タイガーマスク」よりかは断然面白いし、娯楽作として「CASSHERN」などより何倍も正しいアプローチをしていると思いました。

野口剛がデザインを手掛けたポリマースーツはメカニカルな意匠が現代的で格好良いですね。
ラスボスのポリマーティターンはちょいと迫力に欠けますが、装甲スーツのくせしてなぜか露出度の高いポリマーアルテミスは色気もあって良いなあ(苦笑)
あれって、やっぱり女性専用なんでしょうね。戦闘用なのにハイヒールだし。

裏拳を駆使するといった、なんとかして破裏拳流に説得力をもたせようとする努力は買いだし、サブミッションなども魅せる格闘部分は多少のヌルさも垣間見えるものの尺も充分で楽しめます。
しかしながらストーリーの展開上仕方ないとはいえ、主役のポリマーが弱く感じられるのはもう少し何とかならなかったのかなぁ?
まあ、最後は「あの」必殺技をキメてくれますけどね。

お話自体は原作レイプと言われてもしょうがないほど全く違うものになってしまっていますけれど、こういったアレンジもアリでしょう。アニメみたいなヘンテコなコスプレした犯罪者が相手だったり、無国籍風コメディもそのままだと難しいだろうし。

一応、最低限のリスペクトはされていて、破裏拳流の反動三段蹴りや真空片手独楽もちゃんと使うし、ポリマーホークも形を変えて登場しますよ。
でも、欲を言えば犬の男爵を出して欲しかったなぁ。
いいキャラしてたし。

・・・・・などと、ここまで男臭く語っておいて何ですが本作最大のウリとなるのは間違いなくオッパイなのです!
わざわざ胸の谷間をみせつける原幹恵に、ナチュラルに見えそうで見えない柳ゆり菜の柔らかそうなオッパイの揺れこそが神!
別に谷間以上の何かが見えるわけではありませんが、キレイなへそ出しも合わせたサービスに「若いって素晴らしいなぁ!」と加山雄三みたいに目を細めてほっこり出来ましたよ。
そう、健康的とはこの事なのです!


そんなわけで惜しいところも多々ありながら、そこまで目くじらたてるほどでもない原作改変ぶりなので、邦画でもアクション熱が沸き立って欲しい層には観てほしいですね。
コツコツと作られて、それを応援していかないとアクション畑が焼畑農業みたいに先細りしていってしまいます。
最近はEXILEがオラオラと気を吐いてますけれど、こういう小品にも目を向けて頂きたい。
とか何とか言いつつ、今回はレンタルで済ませてしまって申し訳ないので、余裕ができたらブルーレイで手元に残したいですな。


レンタルDVDにて