キナ

光のキナのレビュー・感想・評価

(2017年製作の映画)
3.5
音声ガイダンスの試写モニターのシーンがあまりにリアルで、指摘も的を射ていてまるで私がダメ出しされているような気持ちになった。
上司のトモコさんの優しい笑顔に救われる気分に。

ハンデの無い私たちには目が見えない人のことを完全に理解することはできないけど、その距離をできる限り詰めてお互い寄り添うことが大切なんだと思った。
中森の僅かに残っていた視界が閉じてしまったときはそのショックや恐怖が伝わって少し震えてしまった。

最後の上映シーン、美佐子が考え抜いたガイダンスの言葉が素敵だった。
映画に小説の文章を作って加えるようなものでいかに大変かがわかる。
樹木希林のナレーションだと知りびっくり。耳障りのいい声だった。

ただ、イマイチ分かりづらかったシーンも多かった。
セリフや表情が詩的で少しわざとらしく感じてしまい、互いに惹かれていくさまも少々強引に思えた。
美佐子と中森、傷のあった二人が同じ光を見て前に進むことができているので良かったけども。

役者の演技は最高で、美佐子が中森に軽くシャドーボクシングするシーンは可愛くてお気に入り。
詩的な表現はあまり好みに合わなかったけど、重くもあたたかい内容は心地よく観て良かったと思える映画だった。
キナ

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