キナ

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者のキナのネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

この文章はジュラシックシリーズに理想を置きすぎている私がただの愚痴と偏った感想をとんでもない長文で述べているだけでしかないので悪しからず。

この映画でジュラシックシリーズの幕が閉じる、その事実が本当に残念でならない。
前作の流れからしてこうするしかないのはわかる。わかるけれど、もう完全に解釈不一致でしかない。
愛するジュラシックシリーズがこんな形で終わってしまうんだと思うと非常に耐えがたい気持ちになる。

まずひとこと言いたい。
「共存できるわけないだろ。」
街にイノシシが出ただけで大騒ぎするような人間共が、恐竜と。
外来種の魚が入ってきただけで大騒ぎするような人間共が、恐竜と。

人間が文明を築き社会を維持し続けていくには、世界に放たれた恐竜たちは大きなノイズでしかない。
今の世界は人間の統制とはっきりとした境界が無いと絶対に破綻する。
捕獲と移動を重ねて4年経ってもなお広がり続ける「竜害」の報道を見ていると、共存などとてつもなく難しいことに思える。

そもそもこの時代にいてはいけない存在なんだよ恐竜は。初作からずっと言ってるじゃない。
タブーを冒して生み出された恐竜達が隔離された中でもテリトリーと生態系を築き、それに踏み入った人間が痛い目にあう物語じゃない。

私は恐竜に共存も関係性も求めない。人間の社会をおおいにかき乱していただいて結構。
「新たなる支配者」「Dominion」のテーマに沿って、恐竜が世界を制覇すれば良い。
全て破壊して地球のシステムを丸ごと変えて仕舞えばいい。白亜紀に戻ったっていいじゃない。食物連鎖のピラミッドを並べ直そう。

少し極論すぎた。
まあそれでも、動物とは生活圏を分けて管理したり飼い慣らしたりエンタメにしたり、うまくやっている現状を見れば不可能ではないのかもしれない。
現代の生き物と古代の生き物は根本的に異なっている気がするけれど。何せ6500万年の時を経ていたのだから。

ここまで書いて気付いたことがある。
私は「どこにでも恐竜がいる世界」が嫌なんだな。
共存の可否なんて考えてる次元ではない。
恐竜が特別でなくなり生活の害とされ、恐竜に対するリスペクトやロマンや圧倒的な恐怖が消えることが嫌だ。
あの島々に行かないと出会えない、それでいて絶対に恐ろしい存在である恐竜が好きなんだ。

共存という着地点につくまでもなく、この映画のストーリーには魅力を感じられない。
私が根本的に否定のスタンスでいるのがいけないんだろうけど。それを差し引いても面白く観られなかった。
人をたくさん関わらせて話を複雑にしたうえで、色々な問題はすっ飛ばして雑にまとめたとしか思えない。

カウボーイさながら恐竜を追い立てるオーウェンの信じられない怪力も、ラプトルの走りはフルスピードのバイクと互角なのに素の全力疾走で振り切ってしまうクレアも…細かいツッコミどころを気にさせないくらいの楽しさがあって欲しかった。

興味ない人間同士の変なアクションに微妙に恐竜絡ませるのもやめてほしい。
恐竜を巡る陰謀なんて、後に起こるパニックのキッカケくらいでいいんだよ。

なんだかんだ言いつつ、恐竜が都会を暴走して街を破壊壊しまくるシーンとか結構楽しみにしていたんだよ。ロスト・ワールド好きだし。
それなのに何?あのエキゾチックな街は?
恐竜がうまいこと街並みや雰囲気に馴染んでいてゲームの舞台みたいに映えてるじゃない。
せっかくなら日常を破壊される恐怖を味わいたかったのに。4年の間に都会はそろそろ落ち着いてきたのなら、一番パニックな時を見せてよ。

こんな世界にした戦犯メイジーがのうのうと過ごして全く反省していないのも許せない。人類史上最大の罪を自覚しなさい。
私が観てきた映画の登場人物の中で一番嫌いな人かもしれない。
後先考えず閉じ込められたものは全て解放してしまう頭の悪さ。ベータに襲われてたら面白かったのに。

そう、ブルーとベータの扱いも最悪だった。
ヴェロキラプトルを愛玩動物だと勘違いしているのか?あんなのが無性生殖で増えまくったらどうなる?というかあんなデカい生物が無性生殖できるものか?
たまたまオーウェンに懐いてただけで他の人間なんて餌でしかないのに。
無限増殖したヴェロキラプトルが人間共を殺しまくり食いしまくり、唯一襲われないオーウェン達が絶望するスピンオフが観たい。

ティラノサウルスと並ぶ恐怖の象徴ヴェロキラプトルをあんなキャラクター化するのが許せない。
「ブルーかっこいい♡かわいい♡」みたいなこと言ってる人は全員ラプトルの爪の化石でお腹シュッシュッでやるから。恐竜を甘く見るな。

ジュラシック・ワールド初作でバズった静止ポーズを乱発するのも腹立つ。
ちなみにアラン博士はラプトル声帯の化石を使ってラプトルと会話した経験があります。
静止ポーズのオーウェンとメイジーがどれだけ出しゃばったところでアラン博士には勝てないので。

そう、私はどうしたってジュラシック・パークシリーズの大ファンなので、アラン&エリー&イアンの3人が揃うことで死ぬほどテンションが上がってしまうのだ。
3人の変わらない話し方、ファッション、佇まい、本当に好き。ずっとずっと大好きです。
アランの顔はヴェロキラプトルにすごく似ています。
ちなみにバンブーレーヨンは竹が主原料だけど糸を作る時に大量の化学薬品を使うから一概に環境に良いとは言えないんです。

ところでケイラ、お前は誰?
最初はイアンの娘かと思ったけどあの子はケリーだし…ただの飛行機運転係の新キャラなのにあの急激なメイン扱いはちょっと鼻に付くのよ。

敬愛するアランとエリーとイアンに話を戻すと、彼らが揃った理由が巨大イナゴの件か…というガッカリ感が否めない。無駄遣いじゃない?
バイオシンの作物だけ荒らさないイナゴなんて、その黒幕は一目瞭然じゃない。普通にSNSで拡散されてすぐ炙り出されるでしょう。
そんなものの検証のためにレジェンド達が駆り出される理不尽。そもそも急に映画の本筋がイナゴ中心になってるのも腹立つ。

彼らはジュラシック・ワールドが開園した時どう思っていたのだろう。
恐竜が世に放たれたとき、何をどう思って、何をしたんだろう。
シリーズ最終作で急に出させられこんな都合のいい使われ方をされるなんて悲しい。

ウー博士の情けない描かれ方もなかなか受け入れがたい。急に変な髪型になっているのもいただけない。
イナゴの凶暴を止めるための策、そのためのクローン人間とクローン恐竜、その辺なんだかフワッとしすぎじゃない?それで万事解決なわけある?ミスターDNAに解説させてよ。
まあイナゴにあれ以上比重かけられるのも嫌なんだけど。メイジーは大人しくサンプル提供しなさい。

バイオシンは何がしたいんだ。
初作で太っちょネドリーに恐竜の胚を依頼してたドジスン。あの時のちょい役がまさかの大出世である。
ある意味ジュラシック・パークの悲劇はドジスンの依頼が原因とも言えるから、回り回ってフォーカス浴びられて良かったじゃない。何がしたいのかよくわからないけど。

ドジスンが大事に持って行こうとしたあのスプレー缶。
胚をカシャコカシャコと詰める様子がすごく好きで、私の嗜好の一つを作ったあのスプレー缶。
ネドリーがミッション失敗したとき、水に流れて泥に埋まっていたけど…まさか回収したのか?
いや、お揃いをずっと持っていたということか。たぶんそうだな。
ドジスンの最期はディロフォサウルスで締める。ネドリーとの因果か。

その他にも挟み込まれる初代ジュラシック・パークを彷彿とさせるシーンの数々。
ひっくり返った車とティラノサウルス、アランの小屋にかかっていたラプトルの爪(初作で持っていた爪は木の上で寝た時に捨ててるからまた新しい爪だね)、赤い誘導灯を使った囮作戦、地下の電気回路をいじる女性陣。

シリーズファンに媚びてるの?
ノスタルジーに甘えて中途半端にサービスシーン入れるくらいなら原点回帰して恐竜の迫力と恐怖と凄さとその切なさを描いてほしいところ。

その割に「カッコいい画を作りたい!」という変な自己顕示欲が見えるから腹立つ。
恐竜に火を吹かすシーン、円の中にティラノを入れた構図、爪長巨大鳥と池の構図、羽毛ふさふさ恐竜のドラゴン感、爪串刺しフィニッシュ、私は全部嫌です。映画技術向上とエンタメの敗北を見た気がする。

私はジュラシック・パークが好きだ。
恐竜が現代に蘇って、メインキャラクターは恐竜を畏怖し、その生き方を見ることができ、スリリングで怖くてでも楽しい、そんなジュラシックシリーズが好きだ。
ジュラシック・パークを受けた続編ロスト・ワールドとジュラシック・パーク3は冷静に観たら手の内を変えただけでほぼ同じようなことの繰り返しである。
2015年公開のジュラシック・ワールドもハイブリッドという要素はありながらもわりと同じ流れだった。

私はそれが好きだった。
コンセプトの様式美というか、好きなものが変わらずにあることが好きだった。

つまりこの映画を楽しめないのは全て私自身のこだわりの強さのせいである。
この感想文は新しい流れを受け入れず、反発して喚き散らすみっともない駄文である。

新しいストーリー展開で世界観を思い切り広げ、驚きの着地点を見せたこのジュラシック・ワールドシリーズ(特に前作と今作)は凄いと思う。
人間と恐竜が共に生きる、それも壮大なロマンの一つだし、そんな世界を見てみたいとも思う。

既にファンの多い大ヒット作品の続編を作り、新しく物語を切り拓くのにどれだけの勇気や苦労があるだろうか。
自分の好きなものと他人が求めているものとの擦り合わせがどれだけ大変なことか。
公開から1週間経った今、この映画に寄せられる絶賛の声を大切にしてほしい。

前時代的な人間は淘汰される。変化を恐れる人間は成長しない。
私は滅びるべき存在だしジュラシックシリーズの発展と進化には必要無かったんだ。

本当に、本当に…保育園児の頃からジュラシック・パークを繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し観て育ってジュラシック・パークが人生で一番好きな映画で、もちろんロスト・ワールドもジュラシック・パーク3もたくさん観てきて大好きで、2015年にジュラシック・ワールドが公開された時まさか大人になって愛するジュラシックシリーズの続きをリアルタイムで追えるなんてと神に感謝し、続編も心待ちにし、でも炎の王国がまじでつまらなくて全然好きになれなくてガッカリして、でも次があると満を持して公開された今作も全然楽しめずむしろ怒りが湧いてしまうような、そんな、単純にイスラ・ヌブラルやサイトBで恐竜に襲われるのがただ好きなだけの、新しいコンセプトやストーリーに否定的で、30年前のジュラシック・パークシリーズに取り憑かれてただの解釈不一致に怒りの長文を投稿してしまうような厄介オタクはバカデカイナゴもろとも遺伝子を組み替えて滅びたほうがいいと思いました。
まだ初日に1回観たきりなので、あと何回か観て気持ちや捉え方が変化したら追記します。

泣きそう。
キナ

キナ