岩嵜修平

gifted/ギフテッドの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.0
gifted ギフテッド (字幕版)

天才子役とダメなキャプテン・アメリカに全ての心を持ってかれる、親を持つ全ての人に見て欲しい傑作!

おかえり、マーク・ウェブ!

スパイディの沼から、よく帰ってきてくださった!

こういう細かい感情の機微を、丁寧な演出や表情づくりで見せるのが『500日のサマー』で見せたあなたの真骨頂だよ!

もう、予告編の時点で泣いちゃうこと間違いないじゃないですか。
でも、最近は、そういう映画は逆に変にハードルが上がっちゃって泣かなかったんですが、この傑作はこらえきれませんでした。

もう、子役のマッケンナ・グレイスちゃんの演技が半端ない。
日本のテレビ番組とかで、いわゆる「天才子役」が大人みたいに演じるのが気恥ずかしくて観てられない(芦田愛菜師匠は、そういうの超越されたけど)んだけど、今作は天才児役ということで大人ぶった演技をしながらも、子どもっぷりも自然で、メチャクチャ可愛いんですよ。

予告編観る限りは、見た目でキャスティングされたんじゃなかろうかと思うくらい、際立った顔付きをされてるんだけど、ちゃんと子どもなんですよ。
キャプテン・アメリカにジャレついてるシーンがめっちゃ多いんだけど、全部、可愛い。
彼女が溺愛する片目の猫が登場するんだけど、並ぶくらい可愛い。

で、この子の演技に、おじさん、ものの見事にやられちゃいました。

キャプテン・アメリカも良い味出すんだ、これが。クリス・エヴァンス、もの凄いマッチョでイケメンにも関わらず、なぜか親近感を抱かせて、哀愁を漂わせてくれる。

最初は、優しいけど生活は上手く成り立ってないダメ叔父さん風で、実は違った側面があることが追い追い分かってくるんだけど、そのどちらにも説得力がある。ヒューマンドラマを演じられる人なんですよね。

彼もまた、スーパーヒーロー映画に人生を変えられた(良くも悪くも)という意味で、マーク・ウェブ監督と重なるかもしれない。

で、「全ての親を持つ人に観て欲しい」って書いたのは、色んな立場から考える機会を持てる作品だからなんですよね。

この作品では、クリスとマッケンナちゃんを引き離す、クリスの母親(マッケンナちゃんのお祖母さん)が登場するんですが、これが絵に描いたような毒親で。

自分の夢を娘に託し、それが上手くいかなかったら孫に託し始めちゃうような人なんですよ。

そのために、裁判起こしてまで孫の親権を取ろうとしたりする(ここまでは予告編に)。

こう書くと、完全にお祖母さん、悪者感ありますが、マーク・ウェブ監督は、ちゃんと、その裏側の思いも描いてくれる。

クリスとマッケンナちゃんの擬似親子関係も合わせて、色んな立場の親/子の視点で考えられる訳です。

エンディングも素晴らしかったですが、あれが正解とは限らない。
子育てに正解なんて、有りはしないですから。

でも、間違いは有ると思います。
その間違いを知ることに、この作品の伝えたいメッセージの1つは有るんじゃなかろうかと。

それは子どもの気持ちを汲むこと。
子ども自身の気持ちを最優先にすること。

それを前提とした上で、より適切な育て方を考えることが大事なんだなぁと。

寒い中、非常にあったかい気持ちにしてくれる映画でした。

脇を固める方々(『ドリーム』でも素晴らしかったオクタヴィア・スペンサーの面倒見の良いおばさんキャラも最高!)も音楽(控えめだけど効いてくる)も好み!

誰にでもオススメです!
岩嵜修平

岩嵜修平