チャンミ

gifted/ギフテッドのチャンミのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
3.7
7歳で難解な数学の計算もできる子どもをめぐる話だけど、その「イレギュラー」を人格の全体とせず、部分的には同年代の子らと過ごし、部分的には学力の面で合う人たちと過ごす、という極端に偏らせない可能性を照らす良作。
「ふつう」とは何か? が静かに問われ続けている。
また本作は「家族」とは何か? をめぐる作品でもある。
何より目を引いたのは、典型的な家族像ではなく、母親の弟が扶養義務を担い、初老の隣人(オクタヴィア・スペンサー!😭)がシェール&ティナ・ターナーを共に歌い、担任の教師はクラスのレベルを遥かに超えたテストを用意してくれる、といった周りの大人のサポートの在り方の多様性だ。
という点から考えると、なんとか保護の権利を得ようとする祖母(典型的な毒母……)が起こした訴訟に負ける可能性を懸念して、妥協として検討される里親が、これまた典型的な「良い夫婦」の家庭で腹が煮えくり返りそうになった。
幼い子どもには、特にアイデンティティの揺らぎは大きいと考えられるとは言え、子どもの意志を無視して進みそうな「養育」の話に映画が決着として、この「典型的な良い夫婦」に落とし込んだらぜったいスコアを1とか2にしてやる!😠 と。
その「毒母」な祖母と養父として務めてきた叔父が対立する構造だけど、祖母の背後というか周りに祖父、あるいはエピソードだけで語られる義祖父の姿は存在しない一方、養育や子どものケアをめぐる象徴として女性(祖母、母)があまり肯定的に描かれていないことはちょっと気になる。
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