チャンミ

別れる決心のチャンミのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
4.2
2/27発売の「ユリイカ」(特集 パク・チャヌク)で、映画研究のイ・ヒャンジンさん、エディトリアル・デザイナーで#FREEUSHIKU で移民・難民問題などにも取り組む宮越里子さんとの座談会、自身の批評的エッセイ「境界のものがたり」それぞれで『別れる決心』についてふれています。
特に前者は、ソン・ソレの読解として、「サバルタン(特定の社会・政治・地理構造において阻害されやすい従属的な社会集団)の語れなさ、翻訳不可能性」という論点を出してくれた宮越さん、朝鮮民族と中国、韓国社会の資本主義の視点を提示してくれたイさんの発言をぜひ読んでもらいたいです。
わたしの文章では、パク・チャヌクがBBCで演出したドラマ『リトル・ドラマー・ガール』のあるセリフから展開し、『別れる決心』でも組んだ美術監督リュ・ソンヒの仕事の読解を、『お嬢さん』『渇き』などにもふれながら書いています。

メロドラマとコンゲームの構造を使いながら、民族性、国家、追うものと追われるものといったさまざまな境界を揺るがし、ユーモアも交える(つまりさまざまな文化の衝突が起きるから笑いが生じる)パク・チャヌクの演出と、チョン・ソギョンとの脚本タッグの円熟を感じさせられる映画と思います。
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