ちろる

破滅への歩みのちろるのレビュー・感想・評価

破滅への歩み(1992年製作の映画)
4.1
圧倒的な芸術の融合。

この物語はゲーテのファウストから着想を得たオーケストラ 「ファウストの劫罰」を ジョルジュ・シュヴィツゲベルの独創的な世界観によって映像化したアニメーション。
アニメーションというよりは、動く芸術である。
愛に生きるファウストが、恋したマグリードの処刑を阻止すべく、悪魔メフィストフェレスと共に馬を走らせる。
ただ、それだけのシーンなのだが、それがだんだんと破滅への道と変わっていく見事な表現力はすごい。
疾走するスピード感はいくつかの場面をシンクロと融合を繰り返しながら、ひたすら前に向かうファウストの情熱を見せ、
広場にたどり着いた最後のシーンでは底無し絶望感がそこにあることを思い知らされる。
輪になって踊っている人間とおぼしき物体はオーケストラの周りを楽しそうにしているようで、やがて骨となる。
その残酷な描写は、もちろん恐ろしいけど、美しさが勝ってしまう。
そうか、これがジョルジュ シュヴィツゲベルの魅力なのか。
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