さあ、最終章。
もう どこもかしこも権力争いです。
安泰なのは、張(チャン)会長のとこだけ。ショボくなった山王会と、こっちも会長が変わってぐらついている花菱のいざこざは、前作から続く。
どことなく『ソナチネ』を思い出すような作り。済州島の景色や襲撃シーン、ラストシーンなんかは、ソナチネに寄せてる。
本作にはイキノイイ若造があまり出てこない。おっちゃん達は早口の長台詞に苦労した感が見られる。“台詞が聞き取りにくかったら楽しめないだろう”という配慮?からか、不自然(悪く言えば棒読み)な台詞回しが気になった。
ヤクザ言葉は難しいのかな。
それでも、本シリーズの骨幹である権力争い、裏切りが、誰とだれの間で画策されていて、どうやって起こるのかってのは純粋に面白かった。
こないだ、最新作『首』を観たので、大森南朋とたけしのコンビには笑ったな。今にも南朋が、「あにじゃ」って言いそうだったし〜。
花菱の組員のひとりを演じるピエール瀧の存在は、前作、前々作で山王会のナンバー2にのし上がった“キャン吠え”の加瀬亮との上手い対比だよね〜。個人的には加瀬亮に軍配。殺され方も。
そして、待ってました!の津田寛治。
やっぱり雑に扱われてたけど、なんか妙に安心するなあ…この人いたら。北野作品の顔…あ、いや “裏の顔”だよね。裏の裏の顔のひとり…か。
花菱の会長に、元証券マンの野村(大杉漣)がついているっていう設定も面白い。天下りでヤクザかよ〜、誰の紹介なんだよ〜という、会長の椅子に座るまでのいきさつがめちゃくちゃ気になるキャラだった。
そしてなんといっても、張(チャン)会長を演じてた人!誰ですか。花菱のふたりが詫びに来たときに見せた“凄み”は、どの役者よりも迫力があった。でも彼は俳優ではなくて、実業家なんだそう。
あの独特の佇まい…良かったな。
極道の世界といえども、義理を重んじる大友のようなヤクザは“古い”とか言われて、はじき出されるところ…ちょっと哀しいね。