青いむーみん

アウトレイジ 最終章の青いむーみんのレビュー・感想・評価

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
3.9
 あ~あ完結しちゃった。すげぇ楽しかったのに。素晴らしい映画かというとそういうわけじゃないし、ひっ掻き回す役が今回はいないからちょっと単純すぎて物語の筋的には前作、前前作より後退してるんだけど、シリーズ内で一番気軽に観れて観る人を選ばない作品になっている。

 何よりも言いたいのはキャラクターの面白さになってくる。前作より引き続き極悪策略家の西野こと西田敏行は相変わらずお腹真っ黒で身内を転がしているが、中でも椅子芸が見事。椅子に座ったまま目上の人物に体を捻って話すあの舐めた態度は笑ってしまう。
 極悪中間管理職の中田こと塩見三省の顔芸は空気が張り詰めれば張り詰めるほどピクピク微動して普通ではありえないくらい過剰であればあるほど面白くなってくる。
 声がデッカイだけの堅気のくせにチョイ悪組長になっちゃった野村こと大杉漣はシンゴジラのダメ総理の落とし前をこちらでつけさせられていて、正に「殺され方から考えたキャラ」なんだろうなと推測。
 それほど目立たない森島こと岸部一徳は前作から出ておいてほしかったなぁ。本物の関西弁が話せるし、あの黒い目の闇は底知れない怖さを感じる。何か一つでもエピソードが欲しかった。
 凶悪変態野郎花田ことピエール瀧は凶悪のキャラのように標準語だったらガチ怖すぎだったろうが、似非関西弁で怖さが中和されている。
 あと、大森南朋の必要性はよくわからなかったな。

 緊張と緩和の交替ではなく、笑い on the 緊張がたまらない。笑ってしまっている間も緊張は解けないままだ。笑いの存在はシリーズ内で一番強い気がするけどその底にはやっぱり緊張があるので映画観てる感は強い。その点はテレビドラマなんかとの差は歴然だ。
 シリーズラストだからか、ちょっとド派手にやったり、映画自体の落とし前をつけるために大友が行動しているように見えて大友の持っている筋を通すキャラクターが薄まってしまっているように感じた。まぁもし最終章2があったとしても観に行くけども、それは一作目とはかけ離れたものになっていそう。アウトレイジ アンデッドとか…いやそんなのは撮らないだろうけど。

 余談:家でテレビ見てるみたいに普通に映画にリアクションしてるオッサンが新鮮だった。その前に座ってたカップルが他席に逃げるのも無理はないけどw客層が幅広いね。まぁ単純に面白いから仕方ないけど。自分の隣席じゃなくてよかった。