pika

私はあなたのニグロではないのpikaのレビュー・感想・評価

4.0
偶然にも続けて見た「マルクス・エンゲルス」と同じ監督だった!
ナレーターはサミュエル・L・ジャクソンなんだけど、ジェームズ・ボールドウィンの原作を映画化しているだけあり、彼の目から見たものや起きたことが語られているので一人称の小説を追っている感覚。ニュース映像や写真、イメージ映像が繋ぎ合わされているのでそれらが挿絵のように感じられてなおさら小説を読んでいる感覚になる。

「招かれざる客」を黒人はみんな嫌ってる、ある意味での印ができた、これ以下はないほど酷い、スター(シドニー・ポワチエ)まで汚さないで欲しい、と語る。
「夜の大捜査線」のおそらくラストシーンで白人のおっさんとシドニー・ポワチエの間接的なキスが描かれている描写にも言及。
両方見てないけど有名な賞を獲っている作品なので驚いた。
差別意識ってのは当事者と部外者ではどう共感しても、相手の立場に立とうと慮っても理解することができない。差別問題を取り扱うだけでなく当事者の目線から事件の仔細や当時の感情が語られている、こういう映画が作られるのは意義があると思う。テンポもよく劇的にせず淡々としているので静かにジワジワと見れるのも良い。

・アメリカ人は精神が底なしに貧しく人間らしい在り方を恐れていると思わざるを得ない。人前での自分とパーソナルな自分に確固とした繋がりがないのだとパーソナルな自分を見失ったことはパブリックな行動に影響し、人種間の問題に繋がった。もしパーソナルな自分を恐れていなければ黒人問題を作る必要はなかった。
・黒人の憎しみの根本には怒りがあり、白人は恐怖がある。
・人は現実に耐えられずファンタジーを好む。
・保護の対象でも慈善事業の対象でもなく国を築いた一員。
・テレビのバラエティ番組への批判。自分のことも周りのことも見ずに愚かで滑稽なショーを見て安心して終わってしまう。
・ニグロを作ったのは白人だ。
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