あばばば

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のあばばばのレビュー・感想・評価

1.3
「君の名は。」と同じプロデューサーということで、似たような効果を狙ったんでしょうが……ダメだったね……オタクっぽいアニメをなんとかポップにして大衆向けにしようとした努力はわかる。だけどパッケージの豪華さと中身の出来がつりあってないし、絵柄と脚本と演出が噛み合ってない。新房監督は好きだし責めたくないんですけど……え、なんでこうなったの……?という空中瓦解っぷりがどうしても解せない……
例えば新海誠のオタクっぽさの真髄は童貞臭いストーリーだと思うんですけど、そこはジュブナイルとして処理され、そして絵柄は映像美として洗練されることで非オタク層にも広く受け入れられた。だけど、この映画は平たく言ってしまえば、”オタク臭さ”が大衆向け調整できていなかったと思う。あれだけ大衆向けだとわかりやすく銘打っておきながら、中身はびっくりするほどオタク丸出しで観ていて冷や汗が出た。美少女のきわどい無意味なカットとか、男子のノリで展開される下ネタとか(こういう類の下ネタ新海誠も好きだよね。天気の子で小学生の女児に胸の大きさ比べをさせたりとか)……あ〜いわゆるオタク的なアニメの文脈、お約束なんだろうけど、やっぱりこういう大衆向けのパッケージをした上で見るともう、尋常じゃないほど気が散る!!!!!いやそんなにいらんねん美少女のカット!瞳孔のアップ!くどいねん!!!しこいねん!!!気が散る程度ならまだマシだけど明らかにノイズの域。その度に物語も停滞するからテンポも最悪になる。新房節が明らかに裏目に出てしまっていて、何度でも言うけど私は新房作品が好きなのでこのふがいなさはとても悲しかった……
ちなみに、アニメの中で繰り出される「少年たちの健全なエロ」的なギャグ、会話、本当におもしろいと思ってやってるんだろうか?マジで全然おもしろくない……オチをつけるためとか、様式美のようにやってるだけならやめたほうがいい。普通に滑ってるのが見ててキツい。
声優もちょっと、ひどかったかなあ……人気俳優を豪華声優で固めた最強布陣のはずなのに、どうしてこんなことになってしまったの……?主演二人は専業ではないながら頑張っていたんだと思うんですけど、周りに上手い人を配置したのがやっぱり祟ってしまったというか。主人公たちの生み出した磁場に声優が巻き込まれ、宮野真守がヘタクソに聞こえてしまう(彼は特に自然な演技がうまい声優だと思うので余計に……)地獄のような状態になっていたと思う。もう少しすべてのバランスが取れていたら、ここまで悪評を呼ばなかったんじゃないかな……ある意味貴重な映画体験だったけど……こんなにマズイ思いはもうしたくないよ……
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