つるみん

クルエラのつるみんのレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
4.0
【I am woman hear me roar】

『101匹わんちゃん』に登場した悪役クルエラの誕生秘話を描いた実写映画。

クルエラの貪欲さ、純粋に邪悪な性格、極度の虚栄心。子犬の皮を剥いでコートにするという悪名高いキャラクターを実写として復活させる為には〝時代〟を理解していないと中々踏み込めない。その難しい点を見事、綺麗に収めていて、クルエラというキャラクターを殺さず、しかし感情移入できるような人間像に仕立て上げる。オリジナルの要素とメッセージを維持しながら、クルエラという1人の女性を正当化する為のニューストーリーが切り開かれていた。

まあつまり何が言いたいかというと実写版リメイクは大成功だったという事だ。

そもそも〝実写〟をする意味を改めて考えると実写にしかできない(=今の映像技術だからできる)ことを全面的に出していく必要性がある。その1点を大きく占めるのは、やはり目から入ってくる情報。本作で言えば衣装であったりセットであったりと。色とりどりの美しいドレスは、スクリーンを支配し、圧倒的な存在感を見せていた。これは正直オスカーにノミネートされても良いんじゃないかと思うレベルである。また衣装の素材によって、貧富の差を表現するとともに、エステラとクルエラというキャラクターの内面的な部分も表している。

たしかに『ジョーカー』のように彼女の人生は幸せとは程遠いし『プラダを着た悪魔』以上の下剋上ストーリーである所から類似点はあるものの、何よりディズニー映画としてしっかり構成されている所が個人的には大好きであった。ディズニー映画なのだからディズニーっぽさを出してほしいというのは本望であり、この綺麗なラストとかも嫌いじゃない。

そして70年代のパンクロックムーブメントそのままに名曲が次々と使われ、テンポの良さが伺えるのも高ポイント。最近はサウンドトラックだけで酔わせてくる作品が増えたが、本作のようにがっつりストーリーとマッチしてくる映画は久しぶりである。
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