"ひとつの命を救うことは人類を救うことだ"
爆撃があればすぐに現場にかけつけ救助活動を行うシリア民間防衛隊、通称ホワイト・ヘルメット。本作はそんな彼らに焦点を当てたNetflixオリジナルのドキュメンタリー。
わずか40分という短い尺ながらとても濃密な内容。とにかく毎日激しい爆撃がある中でよく撮影できたなと。そしてリアルな戦場の映像の持つ迫力は戦争映画のそれとは桁違いで、死の匂いが常に漂っているのがこちらにも感じられるほど。そんな中で命を賭けて市民のために救助活動にあたる彼らは本当に尊い存在と言わざるを得ない。
だが、このホワイト・ヘルメットについては欧米諸国が支援する反政府組織の支配地域で主に活動しており資金援助をしているのもまた欧米諸国である。そして本作はイギリス制作でしかも欧米のメディアから賞賛された作品。このようにどこからどう見ても反政府側についている彼らに対し、シリア政府及びロシア政府からは様々なメディア攻撃が行われているといった具合に、ホワイト・ヘルメットは双方のプロパガンダに利用されてしまっているのが現状。
従って様々な情報が錯綜し何が真実なのかはもはやわたしなどにはわからないが、彼らが無差別爆撃にさらされ死と隣り合わせの市民にとって唯一の希望であることは紛れも無い真実だろう。
隣国トルコにに行った場面での「ここは戦争がない 悲惨な現場も爆撃もない 国境を超えただけでこんなに違う」という台詞がなんとも印象的だった。
