すぎやままゆこ

軍旗はためく下にのすぎやままゆこのネタバレレビュー・内容・結末

軍旗はためく下に(1972年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

90分ほどの戦争映画でここまでできるのか、と期待を遥かに超える作品だった。

丹波が処刑される際に「天皇陛下」と叫んだが、それは「…万歳」の意ではなく、何かを訴えるような口調だった、というシーンと会話。
それをうけて私も戦没者遺族の一員として天皇と菊の花をたむけたいと望んでいたはずの未亡人のサキエが、「父ちゃんはやっぱり天皇陛下に弔ってもらうわけにはいかないんだ」と呟くラスト。
完璧すぎる...

戦友の死体を見て美味しそうと感じるほどの極限状態、
死体の腕を火で炙ってその側で横たわり涙ぐみつつ笑い、人の肉を食べたって世界は変わらないと嘆くシーンも圧巻でどうしようもない気持ちに。
お国のために戦死する、生き残っちゃってどうすんだって思想の中でも、そりゃやっぱりどうしたって生きたいんだよね