荒野の狼

バーバ・アジーズの荒野の狼のレビュー・感想・評価

バーバ・アジーズ(2005年製作の映画)
5.0
Bab’Azizバブアジズ(発音は“ババージーズ“が近い)は2005年のイランとチュニジアで撮影されたナーセル・へミール監督の98分の映画で題名は主人公のスーフィーズムを信仰する盲目の老人の名。
スーフィーズムは踊りと音楽を取り入れた神と一体となるよう瞑想するイスラム教の神秘主義で信者はスーフィーと呼ばれ、日本の禅やヨーガ、上座部仏教の瞑想と梵我一如の思想に共通点が多い。
映画は、主人公と孫のイス¬タールIshtar(Maryam Hamid)が30年に一度行われるとされるスーフィーの集まりに砂漠を渡って参加する話。孫に語って聴かせる話が劇中劇になっており、副題の”自分の魂を瞑想した王子“は肉眼を閉ざし心眼を開いていくのだが、これは、映画の冒頭で、”There are as many paths to God as there are souls on Earth”とされるように、神に至るには、人それぞれの道があるとする中の、一つの例で、スフィーズムの方法。映画では、人は誰しも素敵な才能があり、自分の道を信じて歩めば迷うことなく神(真理)に到達するということを、集会の場所も知らずに、信仰だけを頼りに歩き続ける主人公に語らせている。
思想的な深さもさることながら、老人と孫の愛情も、心を打つ。孫のHamidは踊りも素晴らしく、かわいらしい。映画は、他の数人の若者の体験談も回想シーンとして挿入され、それが最後にメインのストーリーに、見事にまとめられていく。
美しいイランの女優ゴルシフテ・ファラハニ(Golshifteh Farahani)が、短い時間だが登場、その恋人役のNessim Khaloulの歌声は美しい。映画が素晴らしいので、英語字幕のDVDはアメリカでは入手可能なので、日本版が欲しいところ。

名言も多い思想哲学的に深い映画Bab’Azizバブアジズ
Bab’Azizバブアジズは、イスラム教の神秘主義のスーフィーズムの老人バブアジズが、孫と砂漠をこえてスーフィーズムの歌と踊りに参加する過程を描く映画。監督が販売されているDVDの特典映像で述べているが、この映画の目的は、テロ以来、イスラム教対する偏見が蔓延しているので、イスラム教の愛に満ちて思想的に深い宗教であるという側面を訴えることにもある。以下のような名台詞も多い映画なので、DVDの日本での販売が望まれる。

“There are as many paths to God as there are souls on Earth.”
“He who has faith will never get lost. Everyone uses his most precious gift to find his way. For you, it’s your voice. Sing my son, and the way will be shown to you.”
“The prince contemplated his soul so much that he left the visivle world for the invisible one.”
“How can be death be the end of something that doesn’t have a beginning? Don’t be sad on my wedding night (=death). My marriage with eternity. “ このセリフはルーミーに由来している。