荒野の狼

ジャッカルの日の荒野の狼のレビュー・感想・評価

ジャッカルの日(1973年製作の映画)
5.0
『ジャッカルの日』(The Day of the Jackal)は、1973年に公開された143分のイギリス・フランス映画。映画の冒頭は史実のジャン・バスティアン=ティリーによるド・ゴール暗殺未遂事件が描かれており、その流れで本作を見ていると歴史的事件を扱っているのではと思わせるような展開。前半は、ジャッカルが周到に暗殺計画を練っていく内容でリアリティが高い。この部分で恐ろしいのは、ジャッカルや彼を雇った秘密軍事組織(OAS)よりも、OAS幹部のボディガードを拉致し拷問し殺してしまうフランス官憲。後半は、原作がフィクションの小説であるため現実にはあり得ない偶発的な事故が多発し、この時点で本作が史実ではないことが視聴者にはわかるものの映画としては展開が次々に変わり、緊張感は増していく。本作のジャッカルは、人間的感情をほとんど見せないプロの暗殺者であるため、こうした映画にありがちな主人公への共感は起こらない。なお、本作ではジャッカルは、松葉杖の中に仕込めるほどのコンパクトな狙撃銃をしようするが、近畿大学のバイオエアロゾル研究者の牧輝弥教授は大気中の微生物を回収するコンパクトな装置を、本作によって「ジャッカル式」と名前をつけている。
荒野の狼

荒野の狼