荒野の狼

レボルシオン 革命の物語の荒野の狼のレビュー・感想・評価

レボルシオン 革命の物語(1960年製作の映画)
4.0
「レボルシオン 革命の物語」は、原題は「Historias de la Revolución」で、英語の題名は「Stories of the revolution」. 本作は「チェ・ゲバラ: フォト・バイオグラフィ(原書房)」に収録されているシルビア・オロスのインタビュー記事で紹介されており(p191-192)、この中でトマス・グティエレス・アレア監督がチェ・ゲバラが撮影に協力したことを語ったインタビューがある。また、同書には映画の撮影に現れたチェ・ゲバラの写真が6枚(p191-197)掲載されている。キューバ映画なので言語はスペイン語であるが、私は、YouTubeで英語字幕付きの作品を視聴した。セリフは少なく、字幕は、比較的平易な英語なので話は追いやすい。
本作は、「苺とチョコレート」で1994年ベルリン映画祭銀熊賞を獲得したアレア監督が、キューバ革命直後に制作した1960年公開の白黒映画。ドキュメンタリーを見ているような描かれ方で、「負傷者」「反乱者たち」「サンタ・クララの戦い」の3話に分けられ、それぞれ30分ほどの長さ。
一話「負傷者」は、1957年3月13日に都市革命ゲリラが大統領官邸を襲撃した時に、巻き込まれた市民の悲劇と、政府の容赦のない革命家の殺戮。
二話「反乱者たち」は、撮影時にチェゲバラが現われてアドバイスしたもので、1958年のマエストラ山脈(シエラ・マエストラ Sierra Maestra)が舞台。山脈に立てこもり政府軍と闘う中で、バティスタ政府軍の空爆により瀕死の重傷を負った一人のゲリラ戦士と同志を描く。
三話「サンタ・クララの戦い」は、1958年12月28日 サンタ・クララが舞台。サンタ・クラーラ(Santa Clara)は、キューバの中央部にある都市で、キューバ革命時にゲバラによって解放されたことで有名。革命軍の最終戦の勝利を描くが、ほとんどが銃撃戦でセリフは少ない。勝利の後に、命を落としてしまう戦士の風貌がゲバラに似ており、後のゲバラの運命を思うと哀しい。「戦火のかなた」を手がけたイタリアの撮影監督オテロ・マルテッリが参加している。
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