ERIN

許された子どもたちのERINのレビュー・感想・評価

許された子どもたち(2019年製作の映画)
3.7
土曜の朝から強烈な映画を鑑賞。最近はダークな邦画でしか摂取できない栄養があるなと思うこの頃。

悪はもちろん悪だけれど、それは果たして絆星だけのものなんだろうか。贖罪の機会も、自身の奥底にあるものはあるはずなんだが、だんだんとわからなくなってくる。本人は無自覚な母親の過保護さも、弁護人の力技の言いくるめも、司法も、わざとらしいクラスメイトの制裁も、ネトウヨも、悪はどこにでもある。

最初の数分からすぐに残虐なシーンが始まる。喉元に突き刺さる割り箸のボーガン、吹き出す大量の血…めっちゃ狂気。

絆星の母親の描写もまた細かい。「絆星は絶対に人なんて殺すわけがないわよね」「絆星の人生が幸せであってほしいの」真実と向き合うことをせず、こうあってほしいという自己都合の幻想をひたむきに信じている。世間からの弾圧が強まれば強まるほど彼女の庇護欲は増大し、結果あのラストにつながっていく。母親役の黒岩さんが語った「無関係の人間が振りかざす正義感がむしろ罪を犯した人間の反省の機会を奪ってはいまいか。そんなことを考えましたね」は、どーんときた。
(転居を繰り返しているはずなのに、毎回ぬいぐるみや段ボールが山積みなところとか、割れ物のフレームに幼少期の写真を飾っているところとか、「手放せなさ」が現れていて興味深かった)

「もし、あなたの子どもが人を殺したらどうしますか」
建前じゃなくて、痛々しい本音を赤裸々に引きずり出すような強烈な映画だった。

(途中、眼鏡の小学生女子が正当防衛で絆星を倒した場面だけ痛快だった。最高)
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