過去、借金取りを殺害し服役していた男三隅（役所）が、勤務先工場の社長を殺し燃やした強盗殺人容疑で起訴される。本人も認めている2度目の殺人犯行、題名の“3度目の殺人”は誰が誰を殺したのか？罪の十字架を背負うのは誰なのか？を私たちに突きつける法廷ドラマ。裁判制度で本当の真実は明らかにされ、本当に人は人を裁けるのかを問い掛ける。そしてもう一つ、弁護士の使命とは？も問われる。福山演じる弁護士重盛は“被疑者を理解するなんて必要ない”と法廷戦術で如何に勝ちにもっていくかしか興味がなかった男が接見を繰り返すうちに依頼人の望むものは何かが見えて来るようになる。人の気持ちを異常にまで感じ取ってしまう役所の空っぽさとナイーブさ、エリート弁護士福山の変貌、物静かで感情を抑え鍵を握る被害者の娘咲江を演じる広瀬すずの三つ巴の競演が見ものでした、人間の秘められた繊細さを描き出すことにかけて今の日本映画界、是枝監督の右に出る人いない。
