このレビューはネタバレを含みます
videonews.comの批評を観てから観たので「なるほどなあ」という感想。
「砂上の法廷」に酷似しているというのも本当にそのとおりで、結局、法廷という場は、そして弁護という活動は、真実を明らかにするためにあるのではなく、あくまでクライエントの利益のために行うものであることを改めて認識した。
しかし、真実すら何かわからず、何がクライエントの利益になるのかすら分からない場合がありうる。クライエントの言うことをただ鵜呑みにし続けることが利益なのか、それとも違うのか。そんな悩みの中でますます置き去りにされる「真実」は、果たして本当に置き去りにしてよいのか。結局、法廷って何なんだろうね、と考えさせられる作品だった。結局真犯人は明確にならないどころか、「三度目の殺人」の「三度目」が何を指すのかすら不明瞭なままで終わっていく後味の悪さが、この映画の大きな魅力であると思った。映画にカタルシスを求める人には確かに向かない作品でもあるが、個人的にはかなり楽しめた。
ちなみに役所広司の演技が圧倒的なのは明らかだが、広瀬すずも一部の人が言うほど悪くはなく、個人的には十分に上手だったと思うし、映画の世界にしっかり入り込めた。主役の演技があまりにアレなのは、もういつものことなのでしょうがない。
