ノラネコの呑んで観るシネマ

三度目の殺人のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.7
是枝監督の新境地。
てっきり原作ものだと思ってたら、オリジナルだとは。
強盗殺人で逮捕されるも、何度も供述を変える容疑者と、彼に振り回される敏腕弁護士。
ネタバレせずに語るのが非常に難しいが、イージーなミステリと思っていると、予想もしない所に着地する。
普通のミステリでは最重要となる、事件の真実そのものは、この映画ではそれ程の重きを持たない。
問題は真実の持つ意味が、人によって異なるということ。
映画「ゾウを撫でる」のタイトルにもなったインドの寓話がここでも引用されるが、観客が最後に目にする象の姿とは何か。
「三度目」の本当の意味に気付いた時に、思わず戦慄。
単純な殺人事件から始まって、人間の心の持つ複雑な闇、同時に日本の司法制度の問題にまで踏み込む、懐の深い心理ドラマ。
ぶつかり合う二人の男の狭間で、キーパーソンとなる広瀬すずがすごく良い。
分かりやすい作品ではなく、観終わると誰かと語り合いたくなる映画だ。
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