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三度目の殺人のfishのネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

わたしはとても好きだった。
役所広司の演技が秀逸で、何を考えているのかわからない人間という役にはまりこんでいたため途中本当に気持ち悪さを覚えた。
キャラクターひとりひとりがいわゆる"普通"の日常、社会に組み込まれているものの彼らひとりひとりにしか感じることのできない、悩み、闇を抱えて生きている。
目の前にいる人が一見"恐ろしい人殺し"に見えたとしても、または"自らを犠牲にする聖者"に見えたとしても、それは自分の認識の範疇を超えることはない。
本当にその人が何を考えているのかは分からないし、本人自身も流動的な自身の思いを正確に認識しているとは限らない。
ただ、事実、起きた事、は一つ真実としてそこにある。
法律という括りにおいて、その事実にある背景により事実の残忍さの程度が変わってしまう…その背景は一つに定まることはないかもしれないのに…

この映画では、その真実さえ明らかにされなかった。ただ、現実の社会においてはそれが常である。
私たちが暮らしいている日常に潜む、不安定さや不確かさ、また人々の思いの錯綜を感じさせられる深い映画であった。
また観たいし、よく考えて、人と語り合いたくなる映画だった。
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