Ifから始まるオープニングが良い。既に知って見ている設定部分を簡潔に必要最低限で説明するのはとてもスマート。
ジェイクの力量恐るべし。ちょいだめ男からクソ男へと転落して立ち上がる繊細な機敏を見事に表現していてすんばらしい。動かさずジェイクを撮っていればそれだけでOK！ってな具合にヘタに演出せずジェイクの演技を黙ってフィックスワンカットで収めた部分が一番映えてる。
相手役のタチアナ・マスラニーも非常に良かった。ラストカットはジェイクを食う勢い。
良いのか悪いのかは別として色気を出さず役者の力量に委ねたのは英断だなと。無難に感動作としてまとめられるってそれだけでも凄いことよね。サラリーマン的な姿勢として監督はこれ以上ないほど完璧に仕事してると思う。
なぜその実話を映画化したのか、という点を考えるのは面白い。単純にマーケティング云々で作ったのかもしれないが、数を作られている実話感動物にしてはライトな作りになっている。わざとなのか結果なのかは判断しにくいが、悪く言えば消費しやすい、よく言えば気負わず見やすいという感じで気軽に感動できる。
副題の「ダメな僕だから英雄になれた」がまんまだったのは笑った。話的にその副題とポスターの煽り分「きっと誰かの勇気になれる」以上のものはない、と言うくらい普通の青年が苦難に負けず努力した話。ジェフ・ボーマン氏は素直に凄いなと思うし実話なので話や人物に対してあれこれ言うことはできないが、映画として見てしまうと刺さる層が限定的なのかもしれないとは思った。
