玉造

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーの玉造のレビュー・感想・評価

3.9
なんて言い表したらよいのか…。
不思議で、悲しくて、苦しくて、辛くて、笑ってしまって、いろんな感情が複雑に絡み合う、そんな映画だ。

事故で突然亡くなる夫。その夫は
シーツを被り目だけをくり貫いたザ・オバケになり、ずーと立ち続ける。台詞もない。ただひたすらそこにいる。

その夫Cは多分地縛霊になったのか?病院で死んだ後、そこからずっとシーツを被ったまま引摺って自宅まで歩いて帰る。(歩いて帰る?笑)
妻が見切りをつけて引っ越しするも妻に付いていくことはしない。
彼女に未練があるなら付いていくはず。
彼は(ここ)に未練があるのだ。
妻が壁に挟んだメモが気になり、壁をカリカリ。(その仕草も笑)

時間経過と時空間を彷徨うC。
台詞もないし、シーツの中の表情さえも見えない。
ただ同じオバケとはテレパシー?的なもので会話できる。同じオバケとは同じ地縛霊。そこに未練があり、誰かを待っている。
何も出来ずにただ待ち続けるしかない。生きていた時のように行動出来ないし、話しかけることも出来ない。そこに「死んだ」という現実がある。

この映画は観ながら自分で考えていく物語。生きることについて、死ぬことについて、存在する意味について。自分で答えを見つけていくしかない。エンドロールの最後まで。

オバケCを演じているのはケイシー・アフレック。贅沢な使い方だ。でもさすが名優。シーツだけなのにその存在感や憂い、悲しみ、怒りまで表現。
ところでオバケCはまたオバケCを見ている。そのオバケCもオバケCと同じになるのか?
ん~これもまた自分の答えを出さなくては?なのか。
玉造

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