カラン

さらば愛しきアウトローのカランのレビュー・感想・評価

さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)
4.0
肩の力がぬけた、飄々、ニコニコ、皺皺のロバート・レッドフォード(当時約82歳)とシシー・スペイセク(当時約69歳)の、枯れた笑顔がたまらない。皺皺だけれども光っている。ケイシー・アフレックも相変わらず素晴らしい。激しく訛っていたり、衝動的な暴力に訴えたりと、あくが強めのキャラクターを彼はよくやるわけだが、不思議と存在を極小にできる。スーパースターの兄貴よりいい役者だと思う。オール白髪のトム・ウェイツまで出てくる。ダニー・グローヴァーがこれまたすごくいい。トム・ウェイツは見た目はカッコいいが、少しかたいか。周りが凄すぎるのかな。


16mmの撮影だが、荒々しい粒子感を出す方向ではなく、色彩をしっかりと溶けこませているように見える。日中の陽光も全体にセピアのベースとして溶け込んでいるのであって、一条の光のような直接的な現前はしない。あるいは闇に囲まれた室内灯でも、人物たちは溶け合う。このいくらかメランコリックで、甘く感傷的な色とフォルムの混淆は、『セインツ』で全面的にやっていたことだが、今回の『さらば愛しきアウトロー』は、後半から複雑でバランスが悪く思えた。おそらく自分が引用を読みきれていないせいなのだろう。ただ、花を持たせるようなことは不要なのじゃないかな。レッドフォードだしね。彼はいつでも戻れるし、戻れるようにするべきなのだから。単に素晴らしい映画を目指すべきであったのかなと。

エンディングクレジットで輝かしいイエローゴールドの文字は、星の瞬きのようにきらりとしたかもしれない。目頭が熱くなった。


レンタルDVD。マルチチャンネルサラウンドで、ブルージーなジャズの音質は良い。画質はデヴィッド・ロウリーの色調だと思われるものを表現しているのならば、優秀ということになる。この種の16mmやDV等の撮影の画質評価は難しい。こうしたものは主観的な成分がより多いのである。
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