ムック829

羅生門のムック829のレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.4
盗賊の多襄丸が貴族の女を強姦し、夫を殺害する事件が起きた。
しかし事件の顛末は証言者によってくい違い、結局どれが真実なのかわからない。

最後の決闘裁判を見たついでに手持ちのDVDから見直し鑑賞。これは絶対に字幕推奨。
多襄丸、妻、夫それぞれが自分の都合のいいように証言するのが、人間の本性を表していて面白いけど怖いですね。
人間なんて身勝手なもんだという結論に落ち着きそうなところ、人間も捨てたもんじゃないと思わせられる結末が素敵だった。

三人それぞれの主観パートでは自分が美化されていて、他パートでは性格まで違って見える演じ分けは素晴らしい。
多襄丸パートの多襄丸は勇ましいのに、真実の中では手が震えていたりするから面白いんですよね。
今日マチ子の演技は圧巻。横顔の美しさ、そして突如本性を現した時の豹変ぶり。大きく見開いた目が狂気で凄かった。
カメラワークは全くストレスがなく、素人目にもさすがとしか言いようがない。

人間なんて手前勝手なものだけど。それだけじゃないよというメッセージに救われる、いい気分で終われる映画でした。
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