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羅生門のchichichiのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
3.7
夏休みなので今まで観たことない作品にチャレンジします!

実は、黒澤明監督作品、初めて観ました。もちろん、三船敏郎、京マチ子も初めてです。
タイトルの芥川龍之介の「羅生門」は学生時代に読んでいましたが…
「藪の中」と言う言葉が、証言の食い違いか真相が分からない。その謂れになった作品『藪の中』をミックスした脚本になっているとは知りませんでした。

もう、言わずと知れたストーリーだと思いますが、わたしの様にご存じない方のために書きますと、

時は平安時代の羅生門。盗賊の多襄丸が旅の侍夫婦を襲い、妻を強姦し、侍を殺す。やがて多襄丸は捕われ裁判となるが、多襄丸、侍の妻、巫女の口を借りた侍の霊、木こりの告白…
4人すべての証言が食い違うと言うもの。果たして、真実はどこに?

まるで、元祖、法廷作品、みたいな感じでした。
侍のモノだし、時代劇みたいなので敬遠してたけど脚本がよく出来てる!
三船敏郎演じる多襄丸も侍の妻も迫力満点で思わず信じてしまいそう…

多襄丸も侍の妻も夫もみんな自分のエゴや虚栄心を隠したいがためだけなのか。

まさに、真実は、「藪の中」でした…

責任逃れのために、自分の見栄のために嘘をつく。虚栄心からくる自分勝手な人間がそこにはあるのだと思う。
今のわたしたちにもまったく当てはまるのではないだろうか。

雨の上がった後の羅生門の木こりと旅法師の会話シーンはどうとらえればよいのか。

木こりの善行に良心の再生を信じたくなる…
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