順慶

羅生門の順慶のレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.0
外は雨だし。Amazon primeで再生。
大学生のとき見て以来の鑑賞。あまりにも有名な作品だし、改めて見ておこうと。

羅生門で雨宿りする杣売りと旅法師。そこに下人が雨宿りにくる。
不思議な事件を語る杣売り。杣売りが語っているのは、検非違使から聞いた話であり、同時に下人と映画を見ている我われにも語っている構造になっている。
この構成は発明だったんだろうと思う。

不可解な殺人事件。盗賊の多襄丸と金沢と金沢の妻の真砂が、それぞれ証言する。死んでしまった金沢の証言は、巫女が降霊して語るというとんでもない展開。
それぞれが異なる証言にストーリーそのものよりも見ている側も翻弄される。杣売りもが信用できない語り手になっている。

それぞれの語り手によって、表情をまったく変える真砂を演じる今日マチ子が、怪演だった。狂気の笑いはかなり怖い。昨年(令和元年)5月に95歳で亡くなった。

音楽は映像に合わせるようにずっとなっているので、サイレント映画のようでもあったが、最後は気がつけば音楽がまったくなかった。

羅生門に降る雨が印象的で、アクション映画のように迫力があった。
順慶

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