千年女優

ミスエデュケーションの千年女優のレビュー・感想・評価

ミスエデュケーション(2018年製作の映画)
3.5
両親を亡くして叔母宅に預けられた女子高生で、人知れず同性のコーリーとの愛を育むキャメロン・ポスト。プロムの夜、車内で情事に及んでいるところを見つかってしまい、敬虔なクリスチャンの叔母の意向でキリスト教の転向療法施設に預けられた彼女が体験する理不尽な「ミスエデュケーション」とその顛末を描いた青春ドラマ映画です。

自身も大学在学中に同性愛をカミングアウトしたエミリー・M・ダンフォースが執筆したヤングアダルト小説を、LGBTQ+の啓蒙活動でも知られる女性監督のデジレー・アカヴァンが映画化した作品で、まだ同性愛への理解に乏しかった90年代における理不尽な状況をクロエ・グレース・モレッツが熱演して評論家から高い評価を獲得しました。

同年に公開されてニコール・キッドマンの演技が賞賛された『ある少年の告白』と同じテーマを扱った作品で、より施設における矯正のありようにフォーカスを行うコンパクトな物語となっています。やや背景描写が乏しく感情移入し辛いところはありますが、伝統的な価値観が今を生きる「人」を苦しめる本末転倒の痛みを映し出す一作です。
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