mrかっちゃん

サスペリアのmrかっちゃんのレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
4.3
「君の名前で僕を呼んで」のルカグァダニーノ監督によるリメイク作もはや別物と言ってもいい 「サスペリア新編」

オリジナル版の原色を使った印象的なライティングや恐怖を駆り立てる素晴らしい劇伴は一切使われず底知れぬ狂気が全編を通してずっと漂っていた。
ストーリーも1時間以上長くなりオリジナル版では掘り下げられなかった主人公や学校そのものの話に肉付けがされている。
更に1977のベルリンの社会情勢を踏まえた政治的な映画でもありかなり複雑なストーリー展開で新編と呼ぶに相応しい仕上がり。
ストーリーに関しては映画評論家町山智浩さんが解説した動画がありますので是非ご覧ください。
https://youtu.be/Dx-vToCf52M

オリジナル版はホラー映画なら今作はカルト的なアート映画に僕は見えました。
美術的センスが一周回って裏側に入り込んでしまった狂気が滲み出たアートデザインを採用している。
それでいて美しくも見える表裏一体の感覚に激しく感情を掻き乱された。
ダンスシーンの比重もかなり大きくなりバレエからコンテンポラリーダンスに似た舞踏団変更されています。
様々なエッセンスが混在しているため一体なんだという気味の悪さと謎の優雅さが感じられます。
華麗なダンスシーンと並行してあり得ない方向に身体がねじ曲がりグロテスクに殺害されるシーンはオリジナル版にはないアプローチの仕方だと思う。

ルカグァダニーノ監督はオリジナル版の大ファンらしく敬意を払いつつも内に秘めた狂気を今作で爆発させています。
賛否両論分かれる怪作であることには間違いない。