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彼女がその名を知らない鳥たちのはのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

陣治は性欲で動いていた訳ではなく深い愛のみで行動し、寄り添っていた様に思える
それは十和子が黒崎さんに振られてから会社で始めて出会った時からずっとそうだった
だから黒崎さんを殺した十和子の罪を被って自ら命を絶った
そうすることで十和子には警察からの疑いが向けられることはないからだ
最後に「陣治、たった一人の私の恋人」と言っている様に、無償の愛を捧げてくれたのは陣治だけだった

陣治は水島のせいでまた十和子が傷付く事を恐れていただろうし、十和子が水島に恋心を抱いていたのは、”反復強迫“があったからだと思われる
”反復強迫“とはフロイトが付けた名前で、人が心理的に困るとき、不幸な状況を何度も繰り返して惨めになっていく事を言うけれど、今回の十和子のケースも不倫相手に性欲処理として扱われ捨てられるという事象がまさに当てはまっていると感じます

黒崎さんを刺し殺した後に記憶が喪失されていたのは、陣治が言っていた様に”自分を守ろなんとか生きて行こう思う本能が忘れさせていたんや“の通りに“防衛機制”が行われていた
原初的な防衛機制の“否認”が行われていた

それにしても陣治が深い愛故に来世に十和子の子として生まれる事を望みながら自ら命を絶ったのはなかなか頭が狂ってないと出来ないとおもう
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