みんと

テオレマのみんとのレビュー・感想・評価

テオレマ(1968年製作の映画)
3.9
パゾリーニ監督は難解さが邪魔をするけど、謎に惹かれる。

楽しみにしてた今作も、やっぱり難解。
奥行きを感じるけど理解には及ばず2回鑑賞。

裕福な工場経営者の邸宅に謎の美青年(テレンス・スタンプ)が滞在する。彼は不思議な力で妻も娘も息子もメイドも魅了していく……。

『テオレマ』=「定理」
背景も名前も不明な男の訪問によって、ブルジョワ家族は悲劇的な離散を迎えることになるが、果たしてそれが「定理」に導かれたものだったのか、説明のつかない多くの謎を残す作品だった。

父パオロの台詞にある「道徳と混乱」はキーワードとして、また随所で差し込まれる砂漠のシーンは、その狭間で揺れ動く感情を表現されてたのかなぁ…
更には一家の中で唯一労働者であるメイドのみ、俗世から解放され聖女へと変化するのも意味深そう。
また、後光が差してるかのスタンプの姿を見る限りやはり彼は「神」なのだろうか…

もっとも、実は単純にブルジョワジーがひとたび富や名誉から解き放たれてしまうと、もはや後には何も残らない。そんな家族の結びつきは一瞬で壊れるもの。本当の幸せ(幸せの定理)を美少年の姿をした神?が問いかける作品だったのかな?

いや、今作の本質はもっと複雑に絡み合ってる気がするけれど、これ以上無理!ここでギブアップ!


何れにしても、今作ではテレンス・スタンプにノックアウト!
まさに存在が罪だ!罪レベルのカッコ良さと色気がモレモレ。

エロティックなカメラワークとか、不思議なショットとか、シルヴァーナ・マンガーノ、アンヌ・ヴィアゼムスキーの魅力とか…
難解な中にも惹き込まれる要素も多く、単純に変態映画としても楽しめる作品だと思う。

シュッとした若いスタンプも勿論素敵だったけど、個人的には渋おじでイケおじなスタンプの方が好み♡
みんと

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