みきちゃ

嘘八百のみきちゃのレビュー・感想・評価

嘘八百(2017年製作の映画)
4.2
千利休が生まれ落ちた土地、大阪は堺を舞台にした超ご当地推し映画。

目利き古物商の小池こと中井貴一と、落ちぶれ陶芸家の佐輔こと佐々木蔵之介。いやー、流石に上手い。お仲間含め、絶妙な間で繰り出されるゆるーい喜劇的な掛け合いがとても楽しい。

古美術の世界はまるでギャンブル。痛い目見ずに商売を続ける人ってきっと一人もいないんだろう。真贋鑑定は難しいし、駆け引きも大変。うん十年レベルで培った己の物のみならず人物に対する目利きを頼りに、表情と仕草と言葉選びで巧みに交渉を進める。さらに運も味方につけなくちゃ。欲に目がくらんで冷静さを欠くと・・・。

蔵さんが緑楽茶碗を作る様に見惚れた。構想が練られてく所も良かったなあ。利休ゆかりの堺という土地で、長次郎の黒楽茶碗を踏まえて、そして堺港のカモメと…、はー、良い流れ。次第に取り戻される情熱にグッときた。

冴えない人生を歩んでいる二人のバディものとしても楽しい。脇を固める皆様も良い。なんかいいよなー、近藤正臣。

低予算だったらしくてたった16日間で超駆け足に撮ったという話が嘘みたいな、美術愛が伝わってくる、丁寧でお気楽で愉しい映画だったー♪
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