Inagaquilala

羊と鋼の森のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

羊と鋼の森(2018年製作の映画)
3.4
上映時間の134分がひどく長く感じた。たびたびインサートされる森の映像、説明的な人物描写、そして無意味な調律や演奏のシーンなど、もう少しシェイプアップできるような気がした。きっと100分くらいの作品にしたら、ちょうどよかったのではないだろうか。ラスベガスのショーはだいたい100分くらいで、たぶん、それは人間が何かを観賞するときに、たとえ気持ちが乗らなくても、なんとか堪えられる時間なのではないだろうか。

原作は2016年に第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都の小説。過去に本屋大賞を受賞した作品はたいていが映像化されているが、これもそういうことで実現した作品なのだろう。しかし、あまりに力が入りすぎていて、大作感を出そうとして、失敗しているように思う。もう少し、原作を映像向きに改変する必要もあったのではないだろうか。

とくにタイトルを意識した「森」のインサートショットには、もう少し理由付けをして欲しかった。原作を読んでいる人間にとっては気にならないシーンかもしれないが、これはあまりにも原作に囚われてしまった陥穽のようにも思う。作品は、言わば、音の世界を映像に移し替える試みとも言えるが、残念ながらそのヴィジョンがまったく見えてこなかった。キャストの配役も少し考える必要があったようにも思う。
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