ミサホ

火花のミサホのレビュー・感想・評価

火花(2017年製作の映画)
3.8
地上波放送を録画しておいたのを観ました。この『火花』は原作も好きです。ドラマ版もすごく良かったのを覚えてます。

原作者の又吉直樹さんの半自伝的作品。芸人としての苦悩と葛藤。そして憧れの先輩芸人との不思議な縁。

成功することを夢見る駆け出しの芸人のカツカツぶりとヒリヒリした時代。納得のいかなさ。焦燥感。苛立ち。あきらめ。あこがれ。情熱。

徳永は何を追いかけていたのかな
芸人として純粋に成功することかな
それとも、憧れの対象そのものかな

徳永を演じた菅田将暉もいいけれど、先輩芸人の神谷(かみや)を演じた桐谷健太がいい。

神谷の発するコトバの数々。ワクワクした。例えば、徳永に神谷から電話があると、こっちまで嬉しくなる。相方ほっといて、早よ神谷さんとこ行け…とすら思ったくらい。

徳永の人生が変化してくのと同時に、ふたりの関係が少しずつ変化していくさまは、切なくもあるけど、自然の流れかな…というふうにも思う。

自分たちでどうこうできるものではなく、時間と置かれた状況が彼らを変える。

そして、それらを映し出す映像はとても温かい。全体的な色があったかい。居酒屋、ボロアパート、劇場…貧乏で苦しい時代なのに、あったかい。どこであれ“居場所がある”という安心感が描かれていたように思う。

原作を読んだ時の感動には及ばないが、
とても良かった。
ミサホ

ミサホ