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火花のkouのレビュー・感想・評価

火花(2017年製作の映画)
2.5
《生きている限り》
ピースの又吉直樹の同名小説を、芸人の板尾創路が監督した作品。主演に菅田将暉と桐谷健太。原作を読んだあとだったので、漫才のやり取りはやはり映像のほうが伝わってくるものがあるなとか。スピードやらテンポやら漫才の難しさというのを感じたりもした。

少し自分としてはキャストが不満でもあった。神谷という異常性は、今の桐谷健太だと薄れてしまう気がした。どこか荒削り感がなく、とても成功しそうな人に見える。また、徳永も菅田将暉だとオーラがありすぎるだろう。淡々と自分の中で考えを深めるようなキャラクターとしてはすこし薄れてしまっている気がした。

火花という小説は、とても微妙なバランスだと思う。青春小説のようで、クールであり狂気もある。無駄なことをやり続けるのは怖いだろう?というような文にもあるように、切羽詰まった現実感もある。それでいて笑えるのだ。そのバランスが、この映画ではやはり薄かった。

途中途中で挟まれる何だかよくわからないギャグのような映像も、白けてしまったりした。ただやはり、長い時代を漫才に賭けた主人公たちの姿はどうしても泣けてきてしまうところはある。「生きている限り…」から始まるそのラストは小説同様にぐっと胸に来るものがあった。
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