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きみの鳥はうたえるのmのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
4.9
人生の中のモラトリアムな時間の心地よさと掛け替えのなさ、それがいつかは変化し終わってゆく事の切なさが見事に映画の中に封じ込まれている。

みんなで深夜のコンビニ行って買い物したり、ゴム取ろうとしたら変な体勢になっちゃって笑っちゃったり、カラオケで歌う彼女やクラブで踊る彼女の姿が魅力的だったり、遊び終わって夜明けの街をぶらぶらしたり、身に覚えのあるようなああいう瞬間の煌めきがいくつもスクリーンに映し出されては過ぎ去っていく、その幸福感。


柄本佑も染谷将太も流石の巧さだが、ただ巧いだけではない何かを二人ともこの映画の中で発揮している。
そして何といっても石橋静河!魅力が溢れていた。
萩原聖人も良い具合に枯れた人間臭さを醸し出していて素晴らしい。

東京から地方都市への舞台の変更やメールのやり取りの表情だけの表現といった原作の現代への移植も良い。



あのバイト先の『分かってない』おっさんも、皆と同じように朝を迎えている事が描かれているのが本当に良かった。

ラストはああまたこういうエンディングか、と思いつつもやっぱり痺れる。
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