マグナム渡辺

ハウス・ジャック・ビルトのマグナム渡辺のネタバレレビュー・内容・結末

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

わかる人にはわかる映画というよりはわからないことを前提に造られた映画だと考える。「サイコパスとはなんぞや!」という面で大いに学習となり、一見の価値はある。いや、百見の価値はある。

正直主人公ジャックに共感できること一箇所のみ。基本的に共感できるところはありません。多分共感出来る人は殺人鬼の素質があるかと。

とはいえ、共感できなさが「そうはならないよ!」というツッコミを生みブラックコメディとして成立しているところが流石トリアー監督といったところ。

「素材には意思や可能性が内在されており、アーティストはそれを形にする」という思想を持つジャックは壊れたジャッキに内在する可能性を見出して鈍器として利用したことで殺人アーティストとして覚醒するところから物語は始まります。
アートとは何なのか?と問答しながら殺人を繰り返すジャックには、ある種のプロ意識に似た爽やかさがあり、「人はどう生きるべきなのか、先人達の生み出した芸術や文化をどう扱うべきなのか」ということまで考えが及んでおり、その帰結が殺人アートなのです。
レビューしている私も意味がわかりません。でも、ホントにそういう作品なんです。

予告を見てわからない、本編見てわからない、ゆっくり余韻に浸って考えてわからない映画なのです。

おそらくこの映画は、『1人の孤独な男が家族や帰るべき家を探し求める映画』であるとも思うのですが、その帰趨が常人のそれとかけ離れすぎているためそんな風には全く見えませんが、最後まで見たときに、「あぁ、正にこの映画はThe House That Jack Builtなんだ!」と強制的に納得させられます。

ちなみに、名優ブルーノガンツの遺作として相応しい映画だと思います。
彼を映画館で見る最後のチャンスですので見たい方は見逃さないように。

主人公に共感できた唯一の点は、『特別な犠牲者』としてジャクリーンという女性が登場します。
ジャックは「おい、良いおっぱいだな。」とジャクリーンのおっぱいを唐突に褒めますが、本当に良いおっぱいでした。そこだけ。
おっぱいが良ければ『特別』なのかという点についは全く共感できませんでした。
マグナム渡辺

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