めしいらず

ピザ!のめしいらずのレビュー・感想・評価

ピザ!(2014年製作の映画)
2.9
スラムの子らが遊ぶ空き地にできたピザ屋。兄弟は舶来の未知なる食べ物にたちまち魅了されてしまうけれど、如何せん高くて手が出ない。孫を慮って優しい祖母が作ってくれたのは似て非なるもの(ドーサ)。日々困窮している母は頼れない。親切な友人のお裾分けじゃ納得できない。二人は健気にも精出して働き金を貯め、遂に店の前に立ったけれど…。厳然とあるヒエラルキーを目の当たりにし傷つく二人。でもその時の様子を撮った動画が世の中に出回り社会問題化。裏で蠢く大人たちの暗躍やら打算やら。店側に誠意は感じられないけれど、ひとまずは問題の解決策が示され事態が収束。俄かには腑に落ちないけれど現実はそう言うものだろう。ファンファーレが響くような大々的なパフォーマンスの中で店内に迎えられた二人が初めて食したピザ。その率直な感想が天晴れだ。ピザという食べ物の不思議。期待を煽り立てる如何にも美味しげな風体に相反して、実際に食した時のガッカリ感は一体何なんだ。初めてピザを食べた時によくある感慨ではなかろうか(のちに巻き返すけれど)。「ドーサの方がいいね」。あの時ひどい言葉を投げかけてしまった後に死別した祖母へのごめんなさいも込められているように感じられて、心があったかくなるようなラストシーンだった。
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