《インド界隈の映画》、Vol.5。
これまたとんでもない生活感の中に潜む“子供の飽くなき夢”から生まれたエンターテインメント。
スラムで貧しい生活をするとある一家の息子2人。
父親が拘留されてて妻が何とか稼ぐがそれでは不十分だと息子2人も働かされる。
線路に転がる石炭拾って集めて僅かな小銭を稼ぐ、そんな毎日、、、。
そこに、大きな変化が訪れる。
彼らが住むスラムの近くに、なんと宅配ピザ屋ができる。
「ピザって何?」から始まり、スラムに迷い込んだ宅配員にピザを見せてもらい、その匂いに魅了され、そこから彼ら2人は一気にピザの虜に。
どうしたらピザが食べられるのか。
1枚300ルピー。1ルピー、1.8円。1枚500円ぐらいか。
しかし、彼らの石炭の稼ぎでは、それは約1ヶ月の労働に値する。
そこから彼らの、前途多難なピザへの道が始まる、、、。
この2人の志がとても気持ち良い。
普段は貧しすぎて、“カラスの卵”を巣から盗んで食べてるレベル。
そんな彼らが、あれやこれやと知恵を働かせたり、少し危ない橋を渡ったりしながら、とにかくピザを食べるお金を貯める。
しかし、お金を持って行っても食べれない。
彼らの貧しい身なりでいわゆるドレスコード的に入店を拒まれる。
そして、今度は“お金を貯めてピザ屋でピザを食べるための服を買うお金を貯める”。
彼らの飽くなき欲望はちょっとやそっとでは挫けない、めげない、諦めない。
そこから彼らの勢いはさらに止まるところを知らず怒涛の勢いで、運も味方につけ、サラピンの服も手に入れていざピザ屋、、、へ。
しかし、それでもまさかの入店お断り、、、。
これが、大きな起点となり、この地域一帯を巻き込んで新手のベンチャーピザ屋と、地元住民や政治や世論すら巻き込んだ騒動に。
彼らの健気で真っ直ぐで、ズルは許さない“ピザへの道”。彼らは彼らなりの騎士道があり、楽な道は選ばず、甘い誘惑にも断じて負けない。
誰にも頼らず自分達の力で、ピザ。
ただそのためだけに心血注ぐ彼らの勇姿はお茶目だけど、真っ直ぐにそれだけを信じて疑わない彼らの眼差し。
あれは子供の頃の自分の“しょーもない野望”を思い出させる何か温かく、ワクワクする等身大の生活から生まれる小さな夢のようなモノが詰まってる。
みんなが馬鹿にしようが、あしらおうが、一度決めたら叶うまでやめない。
それが世論を動かし、民意を動かし、政治も動かし、相手を動かす。
ピザ、とにかくピザを食べてみたい。
少年2人の夢と希望が、いっぱい詰まった映画。
この結末もまたこの少年たちらしい。
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