らんらん

悲恋 おかる勘平のらんらんのレビュー・感想・評価

悲恋 おかる勘平(1956年製作の映画)
4.0
忠臣蔵の外伝的なお話の一つ
主君が刃傷事件を起こした際に想い人おかる(千原しのぶ)とイチャイチャしていたお付きの勘平(中村錦之助)
当然それを責められ両者成敗されそうになるが、瑤泉院(喜多川千鶴)の取りなしもあり追放処分で落ち着く
おかるの実家で百姓暮らしな毎日の中でも武士の心は捨てきれない、なんとか汚名をはらし大石蔵之助(中村時蔵)ら同志の仲間に加わりたいとする中で起きる事件、、、

調べてみたらやっぱり歌舞伎の演目にあるみたいですね、その一幕を抜粋って感じ
また一つ忠臣蔵の知識が増えてうれしい、見て良かった!
尺がたった73分しかないので気軽に見れる点も良いです、意外なのはモノクロ作品って点
東映のエース中村錦之助でもこの頃はモノクロだったのかと、ほぼカラーのイメージしかない
これ以前の作品も見たことあるけど、例えば新諸国物語なんかも脳内ではカラーで記憶していた、すると前後のあれもこれもモノクロだったのかーと、記憶は当てにならないね

見所は終盤中村錦之助が事のあらましをとうとうと述べていき、切腹に至るまでのシーン、いかにも歌舞伎的な演出なんだけど良かった!流石梨園出身者って感じで雰囲気出てますよね

劇中中村錦之助が義父を殺して金を奪ったって疑われるんだけど、何故か曖昧な態度ではっきり否定しない、なんで?って思ってたら二重の勘違いになってるのね、ここ気づかなかった、上手いと思う、だからこそより悲劇感が出る

うん、悲恋というより悲劇って言葉のほうが合うかなー
自分の身を売ってでも夫の忠義を支えたいっておかるのけなげさ、勘平を仲間に加えなかったのは若い2人が幸せに暮らして欲しかったからっていう大石蔵之助の粋、この辺のすれ違いも良かった

まあツッコミ所がないわけじゃないが、よく出来たお話だと思います
中村錦之助の凛々しさ、千原しのぶの美しさ、あとは直接からむシーンはないけど中村時蔵との父子共演、などなど結構収穫も多かったので満足です
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