佐藤克巳

春の饗宴の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

春の饗宴(1947年製作の映画)
5.0
「ほろよひ人生」以来東宝のお家芸レヴューを前面に出したバックステージ物を、俳優復帰したばかりの池部良を新聞記者に、名門劇場閉鎖の噂と百万円宝籤当選者取材で、電気室技師藤原釜足、オペラ歌手轟夕起子、ジャズシンガー笠置シズ子との交流を描いた山本嘉次郎監督の音楽喜劇映画の傑作。白眉は、音楽担当服部良一が作曲した笠置の「東京ブギウギ」で、レコードや音楽配信では得られない劇場ステージでの躍動振りが素晴らしい。台風で省線が止まり劇場に居残った客へのサービスで、轟、笠置、橘薫、東宝舞踏団が歌と踊りで励まし、劇場の客ばかりか映画観客を煽って盛り上がる結末は見事だった。
佐藤克巳

佐藤克巳