佐藤克巳

細雪の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

細雪(1950年製作の映画)
5.0
四姉妹物語を映画化するのは洋の東西を問わない様だ。キャサリン・ヘップバーンの「若草物語」に始まり、大林宣彦「姉妹坂」が最後と記憶する。私の好きな森永健次郎「若草物語」も本作が下地かと思われるし、阿部豊の弟子市川崑もリメイクしているが、決定版はこれだろう。長女鶴子花井蘭子は、上本町本家を継いだが没落し、銀行員夫辰雄伊志井寛の丸の内支店転勤に伴い上京。次女幸子轟夕起子は、夫貞之助河津清三郎と芦屋別宅を住まいとし円満家庭を築く。三女雪子山根寿子は、内弁慶が祟り見合結婚は難儀を極めたが京都名家藤田進と気乗りしない結婚。こいさん四女妙子高峰秀子は、大正末期から没落する蒔岡家と父急死の禍いで嫁入準備も出来ていない為、老舗ぼんぼん田中春男と駆け落ちが新聞沙汰、阪神大水害で救ってくれた写真家田崎潤との死に別れ、バーテンダー堀雄二との妊娠流産と、自暴自棄な行動で勘当される。しかし、四姉妹の仲は崩れるものでは無かった。なお芦屋近辺の風情が郷愁を誘い、田崎の妹に新人の香川京子が初々しい。
佐藤克巳

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