風ノ助

赤線地帯の風ノ助のレビュー・感想・評価

赤線地帯(1956年製作の映画)
4.0
赤線地帯とは戦後公認で売春が行われていた地域のこと
家族を支えるため、生きていくために体を売る女たちの群像劇

かなり重いテーマだけど湿っぽい情なんか絡めず淡々とした目線で描いている
上手く男から金を巻き上げる色っぽい若尾文子や「うちヴィーナスや!」と自信満々で明るい京マチ子など5人の女たちはそれぞれに魅力的
木暮実千代演じるハナエさんがかっこよくて好きだな

世間からは見下され、彼女たちの稼ぎで生活している家族からもあんな所で働くのは人間のグズだ、恥ずかしいと言われてもここで死んでなるものか!と逞しく生きている

国会では売春禁止法が審議されている
いきなり禁止されても困るのはそこで働く女たち
今まで公認にしてたくせに急に禁止するならその後の生活支援まで考えてほしい
現代でも同じようなことは起こっているけど

映画はここで働く数ヶ月を切り取って描いていて結局のところ問題は何も解決していない、彼女たちの辛い生活はこれからも続いていく
カラッとした作風だけど悲壮感が十分に感じられました
怪奇映画みたいな不気味な音楽が所々に流れていて不穏さに拍車をかけてました
風ノ助

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