風ノ助

さすらいの風ノ助のレビュー・感想・評価

さすらい(1975年製作の映画)
5.0
男2人のロードムービー
うわぁこれはかなり好き

映写機の修理をしながら廃れゆく映画館をトラック(ビバンダムくんのライトがかわいい)で廻るブルーノはクルマで川に突っ込んでいった素性のわからない男ローベルトを拾う
ポツポツと過去の話をするローベルトに「昔話に興味はない」と言うブルーノ
ぐぅぅかっこいい
二人の出会いの場面以降はロケ地だけ決まっていて即興で脚本を作っていったらしいです

音楽もロケーションも最高で小さな遊園地や印刷所の輪転機、映写機など映るもの全てが郷愁を誘い沁みる沁みる

ある劇場で機材のトラブルで上映が遅れ修理する二人の影がスクリーンに映り子どもたちは大ウケ、調子に乗って観客を楽しませていたのは観ていてとても幸せな気持ちになった
こういうなんでもないシーンに泣きそうになる

ブルーノの故郷で知り合いからサイドカーを借りるくだりがバディ感バッチリでかっこいい
もちろん疾走するシーンも爽快で気分が上がる

旅の終わりもまたまたかっこよくて東ドイツとの国境で一晩を過ごした後
「変化は必然だよ、また会おう」
と書き置いて去って行くローベルト
一人になったブルーノはトラックを走らせるとたまたまローベルトの乗る列車と出会いしばらく並走した後踏切で交差して離れて行く

もうほんとにかっこいい映像に加え監督の廃れゆく映画産業を憂う気持ちも伝わってきてなんとも言えない感情にさせられました
過去への憧憬もありながら変化を受け入れ進んでいこうとしているブルーノは監督自身なのかもしれないと思いました
風ノ助

風ノ助