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アトミック・ブロンドのyksijokiのレビュー・感想・評価

アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)
3.8
シャーリーズセロンの研ぎ澄まされた肉体美と女性ならではの柔軟性がある柔術を中心としたアクションがすごく魅力的な映画だった。1対1では背負い投げシーンがすごく多く、蹴りなんかも急所を押さえたり、道具を駆使したりといったところで工夫されていた。逆に必要とされる場面以外での銃器描写をあえて少なくしている印象があった。強いんだけどもちろん女性だからゴツい男相手には苦戦するし、そういうところはリアリティがあって痛々しくもありつつで良かった。

尋問からのフラッシュバックという意味ではユージュアルサスペクツに話の作り方は似ている。その辺でストーリ的な混線を起こすところもあった。冒頭の氷水が張られた湯船から傷だらけのシャーリーズセロンが出てくるシーンがとっても好き。

モノ→モノへ焦点を当てた場面転換が意識的に多くあって、舞台は80年代なのだけどそこにスタイリッシュさをとても感じた。アクションシーンでは撮り方が主観的になる部分があって、そこはすごくテレビゲームに近いなと思った。車で逃げるとことかバイオハザードっぽい。

音楽はその時代に合わせたものになっていて、スパイ映画でブリットポップやダンスディスコ調のものはちょっとどうなんだろと思っていたんだけれども意外にそこは新鮮でよかった。若干トレインスポッティングを見ている気分というかリズムの高揚感からちょっとコメディっぽく観えてしまう瞬間はあったかも…。

この時代のある音楽的ニュースをテレビで報道する場面があって、そのシーンが物語的に非常に重要。頭の中である事象とそのニュースが完璧に繋がる瞬間。かなりアガった。

氷水やコート、鍵、腕時計などガジェットとは違う部分でのキーアイテムの使い方もすごく巧かった。タバコとウォッカもスパイ映画には欠かせない。

ラストにかけてジワリジワリと面白さが伝わってくる感じ。終わってしばらくして「ぐぬぬ。。面白かったかも…」ってなる。逆にいうと中盤は退屈だった。重要人物を国から逃がす逃さないの下りが不透明な状態で進むのでそこが若干イマイチ。ジワジワくる面白さがもうちょっと早く来て欲しかった感じはする。
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