てるる

1000ルピー札のてるるのレビュー・感想・評価

1000ルピー札(2014年製作の映画)
3.8
貧困と無知がもたらす悲劇。

夫に先立たれ、息子も借金苦で自殺したおばあちゃん。
あるきっかけで手に入れた1000ルピー札が悲劇の始まりだった。

1000ルピーは日本円でいうと1500円くらい。
それだけで村人はたかろうとするし、町ではお釣りすらないと言われる。

インドは中国と同じように貧富の格差が凄まじく、農村部では月収2万円にも満たないという。

主人公のブディは家政婦として働いてはいるけど、調べてみたら月収6000ルピーくらいらしい。
しかも農村部ならもっと低そう。

そして警察や政治家の悪党っぷり。
貧困者がまとまったお金を持つこと自体が罪とでもいうような態度や、社会問題にもなっている賄賂文化。

ブティや隣人のスダマも知識が無いのか、「それ言っちゃダメ!」とか、「それもっと上手く説明してあげて!」とかヤキモキする。

救いなのは隣家のスダマがめちゃくちゃ良いヤツなこと。
もうホントこの男がいなかったら、ひたすらツラい物語でしかない。

そしてラストシーン。
ひらひら舞う1000ルピー札が物悲しい。

歌もダンスもない、インド社会の闇を描いた作品ではあるけど、そこまで重苦しくはない。
色んな国で賞も取ってるみたい。

90分弱の尺も観やすいのだけど、ネトフリで今日配信終わるみたいなので興味ある方は是非。
てるる

てるる